1分で話せ 伊藤洋一
今回紹介するのはヤフー株式会社の企業内大学であるヤフー・アカデミアの学長としてプレゼンテーションや伝え方を教えている伊藤洋一さんが執筆された【一分で話せ】です。
皆さんはこれに近い経験をしたことはありませんか?
- ・会議やプレゼンの機会で頭が真っ白になってしまう、意見を言っても聞いてくれてる気がしない。
- ・上司へ意見や提案をした際に良い反応をしてくれたのに、行動はしてくれない。
- ・お客さんに商品の良さが伝わらなくて販売に繋がらない
このようなビジネスコミュニケーションの悩み、一度はご経験があるのではないでしょうか。
私も例外ではありません。
特にコロナ禍において相手と直接会い、言葉で伝えるチャンスが格段に少なくなっている今だからこそ、
限られた時間の中で自分が伝えたいことを伝えきるという力が一層重要視されているような気がしています。
だからこそより簡潔に伝え、動いてもらう技術を今のうちに自分のものに出来るか否かで仕事のパフォーマンスに影響が出てくるはずです。
本日は1分で伝え、動いてもらう技術について学んできましたのでご紹介しようと思います。
簡潔に伝え、動いてもらう技術
相手は話の80%は聞いてない
人は何か重要なことを伝えるときに、余すことなくすべてを伝えることが良いと考えている人が多いです。
伝えたいことが多いこと自体は悪いことではありませんが、
相手に理解してもらい何かしらの行動に移してもらう事が目的になるビジネスコミュニケーションにおいては
極力無駄な言葉は省いて伝えることが重要です。
また、伊藤さんも著書の中でお話していますが、人は相手の80%の話は聞いていません。
完全に聞いていないわけではないのでしょうが、伝え終わった時に80%の事は頭から抜けています。
何が言いたいかというと、あれもこれもと伝えたいことを詰め込みすぎると相手にとっては
「なんか良さげな話という事はわかったけど、何が良かったんだっけ?」
となってしまいます。
これでは伝えたいことも伝わらず、次の動きにも繋がらないため、
せっかくのお互い時間が無駄になってしまいますので何としても避けたいですね。
話のゴールを設定しよう
お互いの時間を無駄にしないためにもまずは、話のゴールを設定しましょう。
ここで問題です。ある社員が新商品のプレゼン大会に参加します。
ゴールA「部長に新商品の良さを理解してもらう」
ゴールB「部長に新商品の良さを理解してもらい、社長にこの商品で勝負しますと話をあげてもらう」
どちらが正しいゴール設定でしょうか。
答えはもちろん”ゴールB”です。
ですが普段の業務では”ゴールA”で終わってしまう事や
時にはしっかりとしたゴールの設定をしないで話し合いに臨む事もあるのではないでしょうか。
今世の中で無駄な会議をなくしていこうという風潮があります。
おそらく、その無駄な会議に当てはまるものがこのゴール設定がうまくされていない話し合いです。
ですので、まずは
①誰に ②どんな行動をしてほしいのか
これを考えることから【伝える】は始まります。
話のピラミッドを作ろう:結論ー根拠ー事実
ゴール設定ができたうえで、伝わりやすいように話す事はとっても重要です。
今回は話のピラミッドを作り、一番上から繋がりを意識して話をすれば必ず伝わりやすくなるというメソッドの大枠をご紹介します。
ピラミッド頂上:「結論から話せ」
おそらく全ビジネスパーソンが一度は聞いたことがあるとは思います。
始めに結論がないと、相手にとってはどれが必要な情報なのかが精査できないためストレスです。
「君は結局何が言いたいのかね」と話の途中で横やりが降ってくることでしょう。
事実、言いたい事だけ気持ち良さそうに話して、結局何が言いたいのかわからない人って多いです。
しかもそんな人に限って話がものすごく長い。
自分の伝えたいことを明確にする為にも、まずは結論から伝えることを意識してみましょう。
ピラミッド中段:「根拠は三つ」
いわゆる【なぜなら】というやつです。
ここで意識することは【結論】【根拠】が繋がっているかです。
例えば
「今年の研修は宿泊型で行いましょう。なぜなら団結力が高まるからです。」
これは結論と根拠は繋がっているでしょうか。
繋がっていません。なぜ研修を宿泊型で行えば団結力が高まるのか理解できません。
「なぜなら同じ釜の飯を食いながら、かなり負荷のある内容を重ねることで終了時には共に乗り越えた仲間として団結力が高まるからです。」
なら辛うじてわかります。
このように、根拠がしっかりと結論に対する根拠になっているのか、こちらを意識してみてください。
それが3つ揃えば大体相手は「そうだよね」となってくれるはずです。
ピラミッド下段:「事実でイメージさせろ」
先ほどまでのピラミッドの頂上(結論)と中段(根拠)を繋がりがあるように話すことは、
左脳への働きかけです。
違う言い方に言い直すとロジカルに理解してもらうです。
実は理解してもらうだけであればピラミッドの頂上と中段がしっかりしていれば十分です。
しかし、皆さんも経験したことがあると思いますが、
「うん、理解できた、で何?」「正しいことはわかる、でもなぜ私が動かねばならんのだ?」
といった状況がビジネス上、往々にしてあります。
先ほども言いましたが、ビジネスコミュニケーションにおいて理解してもらうはゴールになりません。
何かしらの行動をしてもらわなければならないのです。
そのうえで厄介なことは、
正しいことを言うだけでは人は動かない。
という事です。
非常に厄介ですが、人は感情というものがあります。
人は理解をして、自分の中で具体的なイメージを作り必要だと腑に落ちたときに初めて行動をします。
そのために右脳への働きかけがとても重要になります。
そのためには【例えば、、、】や【実際こんなことが、、、】
といった事例を伝えることでその人のイメージづくりを助けてあげることを意識しましょう。
イメージを作ることで、無意識的に自分であればどうなるのかを想像します。
良い結果を想像させてあげることで、前向きに行動へ移してくれるはずです。
1分でまとめられない話はいくら話しても伝わらない
長くなりましたが、先ほどまでたらたらとご説明していた、
ゴール設定&話のピラミッド
を意識し、1分以内に話が終わるように極限まで無駄を省くことで
自分にとっても相手にとっても伝わりやすい主張になります。
【1分で話せ】というタイトルの意味合いは、ビジネス上のコミュニケーションをすべて1分で終わらせましょうというものではなく、
1分で伝えられるくらい明確にしておけば、5分のプレゼンも1時間の講演も伝わるものとして肉付けができるという事です。
逆に5分話しても伝わらない話は、1時間話したところで結果は同じです。
皆さんもこのゴール設定&話のピラミッドを意識して、簡潔に伝えて動いてもらう技術を養っていきましょう。
おまけ
なぜサラリーマンはリハーサルや練習を怠るのか
伊藤さんは何かを伝えるという行動自体はサラリーマンもアーティストも同じだといっています。
アーティストは自分たちのパフォーマンスを行う際、必ず何度もリハーサルを行います。
「なぜビジネスパーソンは練習をしないのか、プレゼンであれば最悪一人でもできるのに」
的な事を仰っており素直に確かにそうだと納得しました。
伝えたい言葉はあるか
先ほどの流れで、伝えるという行為の中でアーティストは全身全霊で自分たちの想いの思いのたけをパフォーマンスに表しています。
シンガーであればライブでファンに向かって叫び伝えています。
ビジネスパーソンにも同じことをやれとは言いませんが、
今から伝えることは自分の全身全霊で伝えたいと思っていることか
これに対してイエスといえないのであればやらない方が良いです。
上司にプレゼンに参加するように言われたから等
伝えられる側はその人が本気で伝えたいと思っているかどうか、
結構簡単にわかります。
逆に言えば伝えたい事であれば委縮することなく胸を張り主張することで、
必ず本気だなって思ってもらえますので、思いっきりやりましょ!
以上おまけでした。